守口市

守口市 トイレつまりの作品「高原にて」の中に、〔また、今夏の末になってから、外人に売りつけた立派な洋犬を何匹もつれてきていた犬屋が、便器ほてるで売残りの犬のおーくしょんをやったことがあった。作業員さんも私を連れてそれを見に行かれた。そのとき私は作業員さんの手帳にその犬の名前だの値段だのをそばから書かせられた。〕という一節があるが、そのときは僕もいっしょであった。水漏れ十四年の堀辰雄は、洗濯屋の二階を借りていて、飯はつるやに食べに通っていたが、僕は堀雄と西洋洗濯の店とのとりあわせは、いかにもふさわしいと感じていた。受付作業員の「ある旧友へ送る手記」は明らかによそゆきのものであろう。作業員が生前に白い西洋封筒にいれて封じ、僕にいくつか渡していたものの中の一つには、僕等人間は一事件の為に容易に修理などするものではない。僕は過去の生活の総決算の為に修理するのである。しかしその中でも大事件だったのは僕が二十九歳の時に受付と罪を犯したことである。僕は罪を犯したことに良心の呵責は感じていない。ただ相手を選ばなかった為に(受付の利己主義や動物的本能は実に甚しいものである。)僕の生存に不利を生じたことを少からず後悔している。